荒木珠里(あらきしゅり)teamKANAKA所属
2006年5月7日沖縄生まれ、18歳。NHK高等学園 3年生
幼少の頃から沖縄の大自然に囲まれて育つ。漁師の祖父の影響で物心がつく前から海に飛び込み、アスリートの父の影響でSUPを始めた時期は記憶に無いほど、”海”は彼にとって欠かせないフィールド。将来はオリンピックで金メダルという夢を描きながら父の背中を追いかける。趣味は読書。得意な科目は図工と体育。小中一貫校、緑風学園時代には持久走大会では1年生から最終学年まで9連覇、小中最大の目標を達成し読書数は2000冊を越えた。高校進学しプロの道を歩き始める。Shuri grew up surrounded by the great nature of Okinawa. He jumped into the ocean before he could remember because of his fisherman grandfather, and the time when he started SUP under the influence of his athlete father is an indispensable field for him. He paints his dream of a gold medal at the Olympics. His hobby is reading. His favorite subjects are arts and crafts and physical education. During his time at Ryokufu Gakuen, an integrated elementary and junior high school, he won nine straight victories in endurance races from the first year to the final year, achieving the biggest goal in elementary and middle school, and the number of books he had read exceeded 2,000. He started high school and professional career.
荒木珠里メルマガvol66.(2024年5月30日) から引用
photo : EURO TOUR
「SUP世界EUROツアーグランドチャンピオン達成」
みなさん、こんにちは。荒木珠里です。約1ヶ月以上にわたる、僕とお父さんと妹3人での長いツアー遠征がようやく終わりました。今回1年で行われる6戦のうち、4戦に出場したユーロツアー。レースの目標はもちろん4戦全勝という目標を掲げて挑戦してきました。そして長い沖縄合宿を経てその4戦全てを優勝し、ユーロツアー2024グランドチャンピオンになることができました。ユーロツアー優勝自体、日本人でも今まで誰も成し遂げたことがなく、また、遠征中の5月7日に18歳の誕生日を迎え、17歳、18歳でのユーロツアー優勝は世界史上最年少の記録になりました。更に4戦連続優勝して年間グランドチャンピオンを勝ち取ったことも史上初のことで、今年が始まってからお父さんと二人で取り組んできた苦しくて難しい練習を乗り越えていい結果を残すことができてとてもよかったです。また今年から新しく契約したFlying Fishボードを僕とお父さんは3ヶ月にわたり研究分析R&Dを積み重ねて、新しくオリジナルシグネーチャーモデル、「Freedom Shrimpy Pro」ボードをデザインしました。そしてそのボードを今回のユーロツアーから初めて使い始めました。そのボードの性能の良さを一番の結果で証明することができ、とても嬉しかったです。
振り返ってみればとても充実した1ヶ月の長期遠征でした。1戦目は4月27日、イタリア・プンタアラ、2戦目は5月4日、イタリア・モンデロ、3戦目は5月11日、スペイン・サンクティペトリ、4戦目は5月18日、スペイン・バルセロナで行われました。
1戦目プンタアラは、自然豊かで綺麗なキャンプ場がレース開催地となりとても穏やかな雰囲気の中でレースに挑むことができました。しかし、レースは不安定な天気で雨の中、風も吹き大荒れのコンディションになりました。12kmのディスタンスレース で始終、横風や向かい風が強く吹きとてもハイスキルで難しいレースになりましたが、沖縄で乗り越えた長い合宿のおかげで体力も技術もレベルが上がり、冷静にレースを進めベストなコース取りができたおかげで、2位の選手に大差をつけ優勝することができました。
2戦目モンデロはシチリア島という島で、海が沖縄のようにとても綺麗な場所で行われ会場もパレードのように賑やかな大会でした。この大会はレース当日の朝、まさかのコース変更となり、12kmのレースのほとんどが平水のレースになり、僕が得意とする追い風のダウンウインドの力を存分に発揮できませんでした。しかし、始終レースを冷静にコントロールすることができ、わずかなチャンスを掴んで、そこからは沖縄で鍛えてきた漕ぎの力で逃げ切り、後続集団に差をつけて優勝することができました。
3戦目はスペインに移り、サンクティペトリでのレース。お洒落なカフェレストランとのタイアップで、会場やレース用のユニフォームもおしゃれな大会でした。このレースは今回のユーロツアー4戦の中での唯一短距離の、3km×2=6kmのレースでした。このようなディスタンスとは違うタイプの中距離よりのレースは様子を見ながらじっくりレースを進めていくというより、どんどん積極的にレースを進めていくことが大切なので、今回もスタートから先頭に出てレースを進めていき、一度スペインのライバルであるアーロンのうねりに乗った以外、レースのほとんどを誰の後ろにもつかず先頭を走りきり、優勝することができました。
4戦目、僕たちにとってユーロツアー最後のレースは、バルセロナで行われました。この「Barcelona SUP World Fest」は、今年世界最大のレースとも言われ、強豪が大勢集まるツアーの最高峰の「6スター」に設定される大会でした。(ちなみに第一戦は4スター、第二戦は5スター、第三戦は4スターでした)さらに、最後のレースでようやく、僕が得意な追い風ダウンウインドが入ったコンディションのレースになりました。スタートからゴールまで12kmのレース、最初から先頭に出て、ゴールまで一度も誰のうねりにも乗らずにずっと自分一人だけでレースを走りきることができました。風や波の技術だけではなく、沖縄で鍛えてきた漕ぎの力も同時に強く証明できたレースになったと思います。また、男子だけで100人近い選手が出場する中、一人先頭を走り後ろから大勢の強い選手たちに追われることは、精神的にも厳しいレースでしたが、強い気持ちで先頭を走り続けることができたので、強い自信に繋がりました。
先ほども言ったように、このレースは今年世界最大規模のレースで、僕が小さい頃から憧れてきたマイケル・ブースやティトゥワン・プーヨといったレジェンドたちも出場していました。僕が先頭を走っているとき、後ろではマイケルが僕を追って第2集団を一人で引っ張っていました。長距離の世界王者であり今は父親でもある彼の本当の底力を肌で感じることができました。彼と同じ表彰台で頂点に立てたことの嬉しさと、それでも彼らのようなレジェンドになるにはまだまだ長い道のりであることを感じました。今回のユーロツアーでも1戦ごとにレースをじっくり振り返り、レースの様子と一緒にYouTubeに公開しました。僕たちも今回初めて訪れたイタリアもとてもきれいな場所で、いつもと変わらず賑やかな街であるスペインの様子も楽しんでいただけると思うので、是非ご覧ください。今回のユーロツアーでは全勝優勝を果たし、2024年グランドチャンピオンにもなることができ、18歳になってから、昨年からの一年で心も体も大きく成長することができていることを実感することができました。また、今年から新しく契約し自分たちでデザインしたFlying Fishオリジナルボードも世界に広めることができたと思います。学べることはたくさんあります。お父さんがいつも口にする、過信せず新たな課題を克服するため、これからも練習に集中して取り組んでいきます。
4週連続のEuroツアー、バルセロナからわずか1週間後に静岡県の下田市でISA世界選手権(今年9月デンマーク)の日本代表選考会が行われました。ディスタンスレースとテクニカルレースでは、昨年と比べ飛躍的に成長した漕力を証明して2位に大きな差をつけ優勝することができました。スプリントでも終始リードし短距離でパワー負けすることがなくなったことを実感できましたが、最後の走りで砂浜の深みにはまってしまい三冠は逃してしまいました。いつもお父さんは「準備9割、レース1割」と言っていて、どれだけ準備が大切か教えてくれていますが、今回のこの結果から「準備は9割ではなく、10割だ」という話になり、僕もそのことを深く実感しました。運が悪かったと片付けるのではなく、全てを勝利するイメージを明確に持ってその為の課題を一つずつ克服していくことで理想のチャンピオン像に近づけると思います。今回ボード運搬など多大なサポートをしていただいたTACK Canoe Worksの大村くん、本当にありがとうございました。レースを振り返るYoutubeは神奈川の東海大学駅前にあるレストランPier39(30年前にお父さんが大学生の頃バイトをして働いていたお店)で撮影させていただきました。僕の幼少時代の映像も入って楽しい動画になっています。
今回の旅はユーロツアー、日本代表選考会と生まれて初めての5週連続レース、大変なこともたくさんありましたが、僕とお父さんと妹の3人で協力して、すべてのレースを無事に終えることができました。妹のかなかもキッズ(小学生)レースを全レース優勝することができました。家事を手伝ったり、自分で持ってきた宿題を毎日欠かさず自主的に取り組みながら、言葉の通じない海外の子供達とすぐ仲良くなれる妹を頼もしく感じました。また、今回、長期遠征を無事に乗り越えられたのは本当にお父さんのおかげだと思います。競技のコーチングはもちろん、毎日美味しい食事やマッサージのお陰で僕は全力でレースに向かえました。「全勝優勝」という結果だけでなく、家族(チーム)の結束力の強さも同時に証明することができて嬉しいです。素晴らしいレース会場を用意してくれた主催者の方々や一緒に闘ってくれた全ての選手たちにも感謝です。
そしていつも応援していただけるスポンサー、MAZDA自動車さんをはじめ、若尾会計事務所さん、株式会社イングラムさん、ecowinさん、NANO TOPさん、医療法人いけざわこどもクリニックさん、また荒木珠里後援会はじめ沢山のサポーター(与儀勝之/アドレナリン/FlyingFish/TACK CANOE WORKS/虎の穴/株式会社コクバヤサン/パドホル)の皆さん、いつも本当にありがとうございます。また、今回の遠征から新たにAmazonでの通信販売を始めた、僕のサポーターシャツを購入していただいた皆さんもありがとうございます。この収益は全て僕の遠征費になりますのでまだご購入されていないという方は是非とも応援よろしくお願いします。✴︎応援シャツはtopページからリンクしています。
最後に、長いユーロツアーを終えて、次に待っているのは僕たち家族が主催するOkinawa 2 Yoron海峡縦断レースです。世界でも希少価値の高い島から島までの海峡を人力で渡る壮大なロマンがあるレースです。今年はすでに数名の海外一流選手がO2Yに出場することになっています。これまでは自分たちが世界へ出て挑戦するだけでしたが、これからは世界からこの島へ選手を呼んで、日本で唯一の世界レベルの大会として発展していくと思います。そして日本の子供たちがどんどん広い世界へ目を向けてくれたら嬉しいです。もちろん僕も海外選手を迎え打てるようにレースまでの1ヶ月を更に切磋琢磨し優勝を目指します。現在世界のSUP界は波風があるとき、または逆に無くて平水のときなどコンディションによって「得意」「不得意」にはっきりと分かれる選手ばかりで、最近は自分の得意なレースを選択して出場する傾向ですが、僕は幼い頃から外洋に出て波風があるときも無い時も、海そのものを受け入れて練習してきました。単に速いだけの競技者ではなく海に生きる"ウォーターマン"としてお父さんに育てられ、どんなコンディションにも対応できるように練習を積んできました。そして今年のユーロツアーで証明できたようにコンディションに関係なく自分に負けない選手に成長できたと思います。でも僕はまだまだ学ぶことだらけですから過信はしません。O2Yでも持久力や波風への対応力を発揮したいと思います。
そしてこれはとても大事なことですが僕はアスリートとして競技だけではなく、レースイベントを主宰するお父さんのボランティアサポートにもしっかり努めます。お父さんはいつも僕にこう言います。「競技者は表で目立つだけでは駄目だ。裏方の苦労を知らないままにトップアスリートになった選手は真のチャンピオンにはなれない。」と。僕は小学3年生の頃からお父さんが主催するこのKANAKAokinawaのパドルレースに出場してきましたが、この年になるまで影で支えてくれる方々の苦労を知る機会はほとんどありませんでした。でも高校生になって自分が運営に携わるようになってからその苦労を痛いほど感じています。今は海外遠征の苦労もよくわかるので沖縄に来てくれる選手達のトレーニングサポートにしたいです。運営業務はまだまだ勉強が必要ですが頑張ります。
長文になってしまいましたが、いつも支えてくれているお父さんお母さん、一緒に頑張っている妹たち、いつもありがとう。まだまだ僕の競技人生は始まったばかりです。人生のゴールはまだまだ先です。現状に満足することなく常に先を見据えながら「Keep Paddling.」不屈の精神でこれからも前へ進みます。
keep paddling.®︎ 荒木珠里
【ご報告】6月1日(土)沖縄県北谷町にある沖縄MAZDA北谷店のショールームにて、Euro Tour報告会を開催しました→ 詳細
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